看護実習の記録はこの看護過程の展開が大きなウエイトを占めます。
一般的にはあまり聞かれない用語ですが、この看護過程を展開するために看護学生は深夜まで記録をしているといって過言ではありません。このページでは看護過程の解説をしていきます。
看護過程とは?
看護師が看護を行うプロセスのこと
下記の6つのSTEPがあるとされています(5つとしていることもある)
患者の情報収集を行い、アセスメント(分析・評価)をすること
※情報とは事実であることに注意する。
全体関連図を作成する。患者の病態や症状の理解を脳内から図にするイメージ。詳細は後述
対象の患者がどのような課題を持っているのかを確定する。
患者の課題を解決・改善するための計画。
OP(観察項目)、CPかTP(ケア項目)、EP(教育項目)がある。
看護計画に基づいた看護行為。記録にはならないが、実習中は毎日振り返りを書かされる
看護行為をしたことの効果や看護計画の訂正変更をする。
以降は新しい情報がでなければステップ4→5→6のループ
患者ごとに1から作成するため、実習中に患者が退院や転棟などで変更した時は絶望します。
6つのSTEP それぞれの解説
アセスメント
情報を収集し、項目ごとに整理(ゴードンの機能的健康パターン11項目、ヘンダーソン14項目、ロイの適応モデルのどれかで整理される)、医療知識を絡めて患者の状態をアセスメント(分析・評価)すること
情報には下記の2種類があります
主観的情報
患者の発言、自覚症状の訴え、会話から得られる情報、現在の価値観など
客観的情報
問診・検査などで得られた情報。数値化できるもの。既往歴やアレルギー、薬剤、家族構成など
とにかく実習のはじめは情報収集から始まる。逆に情報収集がうまく出来なければいつまで経っても次に進めず、進んでも不十分な看護展開となり最悪やり直しになることも。
またほとんどの実習先は電子カルテでPC操作が必要となる。しかも導入しているソフトも異なるため、なるべく電子カルテに触れ、情報を得る癖をつけた方が良い。
全体像の描写
全体関連図という図を作成する。
因果関係や症状、疾患などを線で繋げていくが、そこまで厳密なルールは無く患者ごとに背景もまったく異なるので人によって個性がでる
血液型で結構異なるから他の学生の関連図を見ると面白かったりする
自分が学生の時は分からなかったが、看護師になり見返すと関連図がどこまで的確に作成できるかでその学生の理解度や看護センスが把握できる。
健康上の課題の抽出
全体関連図に出るため省略されることがある
対象患者に何のリスクや課題、問題があるかを明らかにさせる。
その課題の数だけ次の看護計画〜評価を行う。
課題を挙げれば挙げるほど、看護計画の作成、評価、計画の修正がいるのでぶっちゃけ作り過ぎたくない
実習に慣れてくるといくつかの課題を複合し、少し長めの課題で2つとかにするテクニックがあったりなかったり
看護計画
患者が持っている課題ごとに計画を作成する
計画は以下の3つに分類される 例:尿路感染
- OP (Observation Plan) 観察計画
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患者のどこを観察するかを挙げたもの。 例:尿性状や排尿痛、発熱、CRP値WBC値とか
- CP (Care Plan) ケアプラン または TP (Treatment Plan) 援助計画
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患者にどのように援助するかを挙げたもの。 例:陰部洗浄、ADLの拡大、トイレ誘導、ポータブルトイレ設置とか
- EP (Education Plan) 教育計画
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患者へ教育や伝えること。 例:尿意時のナースコール、疾患への理解、飲水の重要性、正常異常とか
計画を立てたら、解決目標と評価日を設定する。評価日にSTEP6の「評価」を行う
この計画を作成するためにはしっかりとした疾患への知識が必要。この裏付けのための学習時間が結構かかる。
ネット記事では真偽不明なものも多いため、ネットリテラシーが大事。
同級生がどこかのサイトでみた「水素水を毎日飲む」というCPには笑った。教員に怒られてた。
看護の実施
計画の通りに観察・援助・教育などをする
採血をしたら忘れずに数値を控える。その日の援助がどうだったか振り返りをノートに書かされる。
評価
計画の評価日に目標に対してどの程度達成されたのか評価する。
到達出来ていれば課題の終了とできるが、大体はそのまま継続とし、計画の修正を行う。
ここまでくると、記録量は少なくなるが、同時に患者が変更にならないか不安になる。